痛みの治療について
痛みの治療について

神経障害性疼痛とは

痛みの神経と触覚の神経は、本来別々の回路で脳に情報を伝えます。ヘルペスウイルスなどで神経が障害を受けると、痛みと触覚の神経が1つになって、脳に伝わり、「触っただけで痛い」という神経障害特有の痛みになります。一旦この回路ができると、痛みと触覚を別々に伝えることが難しくなり、痛みが長引きます。
このような神経障害性疼痛に対して、当院では、神経ブロック、西洋薬(鎮痛補助薬)、漢方薬を使用して治療します。

帯状疱疹後神経痛

帯状疱疹後神経痛

神経障害性疼痛の代表的な疾患が帯状疱疹後神経痛です。

帯状疱疹とは

帯状疱疹は日本人の3人に1人は罹患する、ありふれた病気です。
通常は3~4週間で治癒しますが、50歳以上では、10人に2人の割合で、難治性の帯状疱疹後神経痛に移行します。この原因として、「血流」が関与していると考えられています。痛いと動かすのが辛くなり、ますます血流が悪くなる「悪循環」になります。

帯状疱疹後神経痛の治療

神経ブロック、漢方薬、キセノン光線療法は血流を改善し、「痛みの悪循環」を断ちます。また、神経ブロック、西洋薬(鎮痛補助薬)で痛みを一時的に軽減すると、痛みのために動かせなかった部位が動かしやすくなり、血流が改善します。これらの効果により、痛みが改善し、ますます可動域が広がり、血流が改善し、痛みが軽くなるという「良い循環」となり、ついには薬がいらなくなることを目指しています。

帯状疱疹の予防

帯状疱疹の予防のため、50歳以上の方に水痘ワクチンをお勧めしています。水痘ウイルスは、免疫力が低下した時に帯状疱疹として発症します。ワクチン接種により、抗体価を上昇させて、帯状疱疹にかかりにくくします。

痛みの治療法

神経ブロック

神経ブロック

神経ブロックは、局所麻酔薬を神経のそばに注射して、神経の働きを一時的に中断(ブロック)します。ブロックしている間、障害神経の血流が改善することにより、痛みを治療します。

患者さんの症状や状態に応じたブロックを選択しますので、お気軽にご相談ください。

  • 硬膜外ブロック
    脊髄の一番外の膜である硬膜のさらに外のスペースに局所麻酔薬を注入し、広い範囲をブロックします。
  • 星状神経節ブロック
    頚部の交感神経の集まりである星状神経節をブロックします。顔面、頚部、上肢の血流を改善します。
  • 末梢神経ブロック
    一側の上肢や下肢など末梢の神経をブロックします。腕神経叢ブロック、坐骨神経ブロックなどがあります。
  • トリガーポイント注射
    押さえて痛い部分に、局所麻酔薬を注射します。

神経ブロックの施行後は15~45分の安静が必要ですので、お時間に余裕をもってお越しください。また、血液をサラサラにする薬を飲んでいる人は、適応外となる場合もあります。

西洋薬(鎮痛補助薬)

西洋薬(鎮痛補助薬)

痛みがあると、外出が億劫になったり、痛い部分を動かさなくなります。鎮痛薬で痛みを一時的に弱めると、痛い部分を動かしやすくなり、外出する気分にもなります。そうすると、血流を改善し、さらに痛みが軽くなります。
当院では、一般的な非ステロイド性消炎鎮痛薬だけでなく、痛みを抑える神経の働きを強くする薬を使って、痛みを治療します。

漢方薬

漢方薬

人にはいろいろな体質があります。体がごつい人もいれば、華奢な人、暑がりな人、寒がりな人もいます。東洋医学では、同じ症状でも体質が違えば、違う漢方薬を出します。また、漢方薬はからだ全体をみて処方薬を決めるため、便秘、尿の悩み、腰下肢痛など体の各部位の訴えに対して、一つの漢方薬で解決することがあります。
当院では、漢方専門医として西洋医学で治りきれない痛みの治療に漢方薬を使用し、皆様のお役に立ちたいと考えています。また、風邪、更年期障害、説明できない不快感など多くの症状に対応します。

様々な疾患に対して、神経ブロックや西洋薬のほか、健康保険が使える漢方薬も多数揃えています。脈診・舌診・腹診にて、実証・虚証、血気水、五臓を把握し、人それぞれの体質に合わせた処方を用いるので、副作用が少なく、全身の体調を改善します。